膣縮小術
どのような治療ですか?
膣縮小術は、内径が拡大した膣のトンネルの壁の皮膚を部分的に切除したり、 膣を引き締める役割をする括約筋を狭める処置を行うことによって、膣を狭くする治療です。
婦人科形成の中では小陰唇の悩みに次いでご相談が多く、出産後の膣の緩みが気になる患者様が来院されます。
どのような症状に適していますか?
膣縮小術は、主として出産によって膣が広がった症状の改善に適しています。
実際には、下記のような理由でのご相談が多いです。
- パートナーに指摘された。
- パートナーが性行為に不満足でないか気になる。
- 男性経験が多いと思われないか気になる。
- 膣口の広がりによって膣の内部が露出して目立つ外見が気になる。
- 入浴時に膣の中にお湯が入りやすい。
手術方法
産婦人科の診察台のような手術台に両脚を乗せて仰向けになります。
最小限度(通常はIラインのみ)に剃毛します。
麻酔後に膣壁の皮膚を部分的に切除し、同時に膣の括約筋を縫い縮めることにより、膣のトンネルを狭く形成します。
多くのクリニックでは、膣壁の皮膚だけを切除して縫合します。しかも、膣の入口付近だけに処置を施して手術を終わりにしてしまいます。 そのほうが手術が簡単だからです。
しかし膣壁の皮膚は簡単に伸びてしまうので、このような手術方法では十分な効果が得られません。
また膣の周囲にヒアルロン酸や脂肪を注入すれば膣が狭くなると説明して、切らない膣縮小術を行っているクリニックもあります。
膣は膀胱(ぼうこう:尿が溜まるところ)や直腸(便が溜まるところ)に挟まれた部分にあるので、 脂肪を注入する場合は膀胱と膣の間、膣と直腸の間に脂肪を注入することになります。
仮に膣の周りに脂肪を注入して増やしたところで、脂肪が増えた分だけ隣の膀胱や直腸がその分凹んでしまえば、 膣の縮小効果は期待できません。 また太れば膣の周りの脂肪も増えますが、出産後に太った結果、膣が狭くなったという話は聞いたことがありません。
つまり、脂肪やヒアルロン酸を注入しても、膣縮小の効果はほとんど期待できないということです。
当院の膣縮小術は、注入ではなく切開して治します。
切開する際も、簡単に膣壁の皮膚を切除縫合するだけでなく、膣を引き締める働きをする括約筋を十分に縮めることで膣を確実に狭くします。
また膣の入口付近だけではなく、奥のほう(子宮の入口付近)まで処置を施します。
膣壁の皮膚も単純に切除縫合するのではなく、あえて少し残して膣壁にヒダを形成する手術法で行います。
その方が単純に切除縫合するよりも手術効果が高く、性行為の際にパートナーの満足度もアップします。
以上のような手の込んだ手術方法で行えるのも、婦人科形成と得意とする形成外科専門医だから成せる業です。
手術終了後は患部にナプキンかガーゼをあて、異常な出血がないかを確認するために30分程度ベッド安静で様子を見て、 問題がないのを確認してご帰宅です。
手術は痛いですか?
膣縮小術の場合、点滴から眠るお薬を注射する静脈麻酔という方法で手術を行います。
静脈麻酔は別名無痛麻酔と呼ばれ、手術のはじめから終わりまで完全無痛で眠ったまま終わるので、 痛みが苦手な方や緊張症の方でも心配ありません。
手術後の通院、生活、性交渉
手術後、麻酔が切れると若干痛みが出る場合があります。その前に痛み止めを内服し、手術当日はできるだけ安静にお過ごしください。
手術後は微量の出血が1週間程度あるので、この間はナプキンかガーゼを患部に当ててお過ごしください。
日常生活や家事、事務仕事は翌日から可能です。シャワー浴は翌日から可能、湯船の入浴は1週間後から可能です。
飲酒や運動は1週間控えてください。
性行為は1ヶ月間控えてください。
膣の中は溶ける糸で縫合するため抜糸の必要はありませんが、傷の治りを診察しますので1週間後に通院があります。
また膣の出口付近をナイロン糸で縫合する場合があり、この場合は1週間後に抜糸の通院があります。
この他心配なことがあれば、いつでも無料で診察します。